【キーパーソン】八城政基 日本的金融風土に挑む新生銀行CEOの孤高

執筆者:安西巧 2002年4月号
タグ: 日本
エリア: アジア

 新生銀行CEO(最高経営責任者)、八城政基に対する昨今の誹謗中傷を耳にするたび、日本の銀行経営ひいては資本主義を標榜しているはずのわが国経済・産業システムそのものが、欧米標準とは似て非なる“紛い物”であることを否応なく思い知らされる。 一昨年のそごう、ライフ、第一ホテルに始まり、昨年の熊谷組、マイカル、日本ビューホテル、さらに今年に入ってのダイエー、佐藤工業と事実上の大型破綻・救済劇の殆どのケースで、新生銀がその引き金を引いたと批判されている。 旧日本長期信用銀行を買収した米投資会社リップルウッド・ホールディングスによって新生銀CEOに指名された八城は、二〇〇〇年三月の就任以来、金融界や取引先企業、マスコミから「国賊」「ハゲタカの手先」――といった罵詈雑言を容赦なく浴びせられただけでなく、国会や金融庁に事あるごとに呼び出され、様々な圧力をかけられた。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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