今年二月九、十の二日間、東京・水道橋で「第三回北朝鮮の人権と難民問題国際会議」が開かれた。「拉致被害者の救出を!」「北朝鮮の人々に人権の光を!」をスローガンにした民間の国際会議である。 呼びかけ人の筆頭には「『北朝鮮による拉致』被害者家族連絡会」の横田滋代表。ほかに、『北朝鮮を知りすぎた医者』の著者、ノルベルト・フォラツェン氏も呼びかけ人となった。三月、一挙に二十五人もの北朝鮮市民を在北京スペイン大使館経由で韓国に亡命させることに成功した、あのドイツ人医師である。 共催団体は韓国にある「北韓人権市民連合」と国際会議を取り仕切った日本実行委員会。北朝鮮に拉致されたとみられる家族の帰還を求めて闘う家族や、圧政下の北朝鮮の人権問題を追及する市民グループを集めた恒例の会議ともみられた。 会議の後援団体の項に、見慣れない組織名が記されていることに気付いた人は少なかった。「朝鮮日報社」「産経新聞社」とともに名を連ねた「米国立民主主義基金」である。 会議の事務局に問い合わせると、この組織の英文名はナショナル・エンダウメント・フォー・デモクラシー(NED)。米政府機関ではなく、NPO(非営利)法人なので、むしろ「全米民主主義基金」と訳した方が適切だ。

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