「劉はたしかに大陸を訪問しました。これまでのところ我が方の計画通りに事態は推移しています」と中国筋は明言した。台湾政界を揺るがしている秘密資金問題を暴露した劉冠軍・元台湾国家安全局出納課長(大佐)は、昨年九月に台湾から逃亡後、少なくとも一回は北京入りし、機密文書を中国側に手渡したという。三月、北京の影響下にある香港の「星島日報」紙が報道の先鞭をつけ、台湾の中国系紙「中国時報」、香港のジミー・ライ氏が台湾で発行する「壱週刊」誌が煽ったのも、すべて「中国共産党首脳部の思惑通り」だというのだ。 北京の狙いは二つ。一つは、台湾の李登輝前総統のスキャンダルを煽り影響力を削ぐこと。最近、ますます大陸寄りの姿勢を強めている反・李の親民党(宋楚瑜主席)は「機密資料を収めた光ディスクを受け取った」と発表している。 第二は、台湾と日米の引き離しだ。同筋によると、機密資料は資金の渡し先として日本の政治家や複数の元防衛庁幹部、米国では元・現国防総省幹部らの名を挙げているが、「これですべてではない」。中国は対米カードとして当面、全貌を明かすのを避け、米政権に圧力をかける考えだという。

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