完全敗訴した東京都の銀行税だけでなく、日本各地の自治体で独自課税構想が花盛り。先細る財源を確保し、「財政独立」を得ようとどこも必死だが、現実はどうも逆のようで……。 三月二十六日、東京地裁は大手都市銀行を対象とした東京都の外形標準課税、いわゆる「銀行税」について、「地方税法の規定に反し、課税は無効」とし、銀行側が既に納めた法人事業税約七百二十四億円の返還と損害賠償十八億三千万円を支払うよう、石原慎太郎東京都知事に命じた。税金をめぐる裁判としては珍しい課税側の完全敗訴。石原知事は「承服できない」として、すぐさま控訴の意思を表明したものの、地方自治体が独自に税収を増やそうとすることがいかに難しいかを示す一例となった。 この銀行税をはじめとして、「レジ袋税」「放置自転車税」「ワンルームマンション税」「勝馬投票券発売税」など、時に珍妙とも思える新しい地方税の構想が、このところ全国各地で打ち出されている。これは、地方分権の一環として実現した課税自主権の拡大によって、地方独自の税金をかけることが可能になったという背景もあるが、地方自治体がどこもカネ詰まりで、とにかく新しい財源が欲しいという切実な理由が大きい。国は課税自主権の拡大だけでなく、地方債発行の自由化など、自治体の財政独立に向けた施策を進めてはいるものの、どれもうまく進んでいない。結局、多くの自治体は国が配分する地方交付税に頼るしかなく、独自財源獲得の夢はむしろ遠のいているのが現実だ。

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