FBI「現場」からのある告発

執筆者:徳岡孝夫2002年7月号

 一度あったことは二度あってもおかしくない。アメリカは、まだビン・ラディンを仕留めていない。テロの第二撃があるとすれば七月四日、独立記念日ではないか? そういう憶測が、向こうの新聞にチラホラ出ている。むろん当たるも八卦当たらぬも八卦ていどの話である。 場所は? べつにワシントンでなくていい。ニューヨークの証券取引所、シカゴの穀物取引所、ハリウッド、ディズニーランド等々、アメリカにとって象徴的な意味ある目標なら何でもいい。FBI(米連邦捜査局)とニューヨーク市警は、自由の女神像の警備を強化したという。 手段は? なにも空から襲う必要はない。高性能火薬を満載したトラック一台と自殺志願の若者が一人いれば事は足りる。文明は発達すればするほど弱点も多くなる。誰かがどこかのアパートの一室に電話を五本引き、フリーターを五人雇って電話をかけさせれば、少なくとも半日間は日本中の空港を麻痺させることができる。 テロはいつ、どこで、いかにしてを問わない遊撃性が強味である。それを事前に探知して防ぐのは、人間業ではない。 しかし逆に、テロが発生した後に振り返って原因と結果の関連を眺めると、いろんなデータまたは情報がテロに向け一斉に収斂していったと感じる。

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