国民党の資産清算問題で、台湾政界が揺れている。 半世紀以上も政権与党であった国民党は、本来国家が接収するはずの日本統治時代の資産などを入手。現在も各地に莫大な不動産を擁し、製造業からサービス業までを傘下に収める一大産業グループである。「党営企業」は台湾特有の政治文化であり、この資産が国民党の政治資金に充てられていたことは周知の事実だ。 ところが、二〇〇〇年の陳水扁政権発足後、「不当な手段で入手した」とされる国民党資産の清算を求める声が高まった。政府内でも九月以降「政党財産処理条例」草案の審議が本格化するなど、清算への動きは加速している。 国民党中央は危機感を強めるが、同党の一部議員の間からは全面清算を支持する声も。政界関係者は「資産清算問題で国民党は劣勢」とした上で「李登輝周辺はこれまで党営資産売却により莫大な資金を手にしており、仮に全面清算となった場合、李登輝時代の取引にもメスが入る」と指摘する。 だが、李登輝前総統の支援を必要とする陳水扁政権としては、当面は前総統周辺との摩擦は回避したいところ。そのため、国民党の資産問題は清算手順や調査対象をめぐる与野党の綱引きへと姿を変えている。

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