日朝首脳会談を前に日本海に現れた不審船をめぐり、首相官邸サイドが防衛庁の情報収集のありようを暴露する失態を演じていたことが分かった。 海上自衛隊のP3C哨戒機が不審船を発見したのは九月四日午後四時二分。ところが、これより一時間も前に「日本海に不審船が現れた」との情報が首相官邸からマスコミに流れてしまった。 官邸の勇み足は、防衛庁情報本部の通信所が不審船の無線交信をキャッチした段階で、報道陣に「不審船が……」と漏らしてしまったこと。一時間待てば、不審船情報は「P3Cによる発見」と説明できたのだが後の祭で、工作船の使う無線の周波数を防衛庁が知っていることがバレてしまった。 さらに官邸サイドは「北朝鮮にある工作船は十隻未満らしい」とも漏らした。この情報は米国の偵察衛星が撮影した基地の写真を基にしており、日米間の緊密な情報交換を暴露したに等しい。 防衛庁幹部は「北朝鮮は今後、周波数を変えるだろう。偵察衛星から見つからないよう工作船を格納する屋根もつくる。そうなれば工作船の動きは闇に包まれてしまう」と、官邸の軽口に憤懣やるかたなしだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。