台湾では十二月七日、行政院直轄市(台北市・高雄市)の市長・市議会議員選挙が行なわれるが、このうち台北市長選挙が総統選前哨戦の色彩を強めている。 台北市長選挙といえば、一九九八年末の前回選挙で、当時現職市長だった陳水扁総統が国民党公認の馬英九候補にまさかの敗北を喫した因縁の選挙でもある。民進党は台北奪還のスローガンを掲げ、陳水扁氏の腹心でもある李応元・前行政院秘書長を候補に立てているが、現職・馬英九氏の優勢は明白だ。報道各社の支持率調査は、概ね馬英九支持が六〇%に対して李応元支持は二〇%。あまりの不振に陳水扁氏自らが十月下旬から数回にわたり街頭キャンペーンを発動し、台北市民に李応元支持を訴えたが、形勢逆転には程遠いのが現実だ。 そんな中でまことしやかに囁かれるのが「二〇〇四年の総統選挙で再選を目指す陳水扁の狙いは、真のライバル・馬英九を台北市長に釘付けにすること。李応元は捨て石」とする“八百長説”。真偽はともあれ、確かに陳水扁氏から見て、馬英九氏の台北市長当選は、自身の総統再選に向けて好都合なのは間違いない。台湾・東森テレビは、陳水扁氏が李応元候補応援に初めて動いた翌日(十月二十六日)の台北市民への調査結果として、次期総統支持率で陳水扁=二九・二七%、馬英九=四三・六二%という数字を報じた。陳水扁氏にすれば現役市長の座から引き摺り下ろされた相手の足音が再び迫ってきた格好なのだ。

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