「片道切符や銃弾一発の費用は(戦費より)かなり安いとは言える」――。十月一日のホワイトハウスでの記者会見でアリ・フライシャー米大統領報道官はそんな言い方をして、フセイン・イラク大統領の追放や暗殺を歓迎する意向を表明した。 フライシャー報道官は、ジョシュ・ボルテン次席補佐官や大統領のスケジュール担当秘書ブラッド・ブレークマン氏らと並んで強力なユダヤ系のホワイトハウス・スタッフだから、アラブ系の人たちから強い嫌悪感が示された。だがそれ以上に、一部の情報専門家からは「暗殺は容易ではない」との強い疑問が出された。 実はこれまでにも何回か、フセイン大統領の暗殺が企図されたが、いずれも未然に発覚、関係者多数が処刑されているのだ。 フセイン大統領を取り巻く、情報・治安機関の網は二重、三重に張り巡らされ、打ち破るのは至難の業のようだ。 イラク情勢に詳しい米国際セキュリティ・アナリスト、ケン・ガウス氏によると、フセイン大統領は旧ソ連のスターリン首相の手法をまねて治安を締め付け、自分自身の安全強化を図ってきたという。治安および大統領のボディガードを担当するトップは大統領の二男クサイ氏と、大統領の個人秘書で大統領事務局の局長アブド・アルハミド・マフムード・アルティクリティ中将の二人、とガウス氏は指摘する。

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