長い間業界トップの座を争ってきた信販大手、日本信販とオリエントコーポレーション。その二社が共に企業存亡の正念場に立たされている。本来なら今後の可能性の大きい業種でありながら、そのトップ企業二社が揃って地盤沈下しているのは、何とも皮肉としか言いようがない。「限りない責任を痛感している」。日本信販の山田洋二社長は十一月二十八日、総会屋への利益供与事件で専務ら八人が逮捕されたのを受け引責辞任した。系列リース会社の整理などバブル期につくった負の遺産の処理に一応のめどをつけ、二〇〇一年九月中間決算では目標通りの収益、利益を確保。二年ぶりの復配にこぎ着け、「社員に改革への意識が芽生えてきた」と胸を張ってからわずか一年のことだった。半世紀に及んだ創業家を中心とする経営はあっけない幕切れを迎えた。 一方のオリコは八月にみずほコーポレート銀行を引受先として二千億円の優先株を発行、株主資本の増強策をとったが、九月末の有利子負債残高はなお一兆九千億円近くにのぼり、過剰債務企業のレッテルがはがれない。市場の不信感は強く、株価は依然として低迷が続く。 日本信販、オリコの両社はここ数年、有利子負債が多く経営破綻が懸念される問題企業として市場からマークされてきたが、一貫して「本業は堅調」の決まり文句で反論してきた。業績悪化の元凶はバブル期にのめり込んだ不動産担保融資やリースの失敗であり、その処理さえ終えれば、本業のクレジットカードなど個人向け小口金融取引(リテール)で再び成長軌道に乗ることができる――。そんな説明を繰り返してきた。

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