第二次大戦中、日本軍によって慰安婦とされた女性に対する「償い事業」を行なってきた「アジア女性基金」(正式名称「女性のためのアジア平和国民基金」)は昨年十二月、七年間の事業を終えた。この償い事業は国民の募金(約五億六千五百万円)に基づく「償い金支給」と、政府拠出金(十三億円)による「医療・福祉支援」からなる。アジアではフィリピン、韓国、台湾で計二百八十五人が償い金と支援を受けた。一人平均五百万円相当(フィリピンでは物価水準に合わせ三百二十万円)。元慰安婦を特定できないインドネシアでは、高齢者を対象とした施設五十カ所を十年かけて建設中だ。 償い事業には反対もあった。日本政府の公式謝罪と直接補償を求める女性や支援団体は「基金は日本政府の防波堤となって補償の道を閉ざしている」と批判した。しかし高い評価もある。最近、オランダ・ハーグで会った元オランダ陸軍大将のホベルト・ハウザー氏 (七一)は「償い事業は素晴らしい企画だった」と振り返る。 同氏は一九九八年七月、償い事業のオランダ側実施委員会(PICN)の委員長を引き受けた。最終的に七十九人を償い事業対象者に認定し、PICNメンバーが三百万円相当の生活物資やお金とともに、日本首相名のお詫びの手紙を一人一人に届けた。

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