ロシアの対外情報局(SVR)とイラクの情報機関ムハバラトが協力関係を強めていることを米中央情報局(CIA)が察知し、神経をとがらせている模様だ。 外交筋によれば、国連安保理の共有する機密情報がSVRを通じてイラクに流出。イラクが国連査察に比較的余裕を持って応じているのは、ロシアからの情報提供があるためとの説がある。 両国の情報協力は、プリマコフ元首相がSVR長官を務めた時代から脈々と続いているようだ。中東専門家のプリマコフ氏はサダム・フセインと親しく、一九九一年には湾岸戦争の回避に向けた調停役を務めたが、その“活躍”は米側の怒りも買った。 プリマコフ氏に近いレベジェフSVR長官は一月、記者団に「対イラク武力行使は中東と世界の情勢を著しく悪化させる」と攻撃に反対。同じころ、プーチン大統領は「イラクが査察で問題を起こすなら、米国とともに強硬な措置を取る」と述べており、両者の発言に矛盾がある。 大統領は旧国家保安委員会(KGB)出身ながら、KGBの後身であるSVRを充分には統率できていないとの見方もあり、SVRの“独走”を米側は憂慮している。

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