イラクへの軍事攻撃をめぐる米英の強硬姿勢に公然と反旗を翻したドイツのシュレーダー首相に対し、身内であるはずのフィッシャー外相が反発、両者の間で大ゲンカになったとの情報がある。 ベルリンの消息筋によると、衝突の直接のきっかけはドイツがフランスとともに安保理に提出した国連査察団拡充によるイラク武装解除案。安保理に先立つ二月末、シュレーダー首相がシラク仏大統領とベルリンで会談し、同案について協議したが、フィッシャー外相は事前に知らされていなかったとして激怒。会談直後、首相に「独断専行」と詰め寄り、二人の間で激しい口論が展開されたという。 同外相は九〇年連合・緑の党の出身で、首相が率いる社会民主党が連立政権を組む際に入閣したが、政治信条などは大いに異なる。イラク問題でも反戦姿勢を表明しつつも、以前から「対米関係の維持」を主張、反米色を濃くする首相ら他の閣僚との確執を招いており、これが伏線になったようだ。 このケンカ以後、二人の関係はまともに口をきかないほど悪化しているといわれ、ドイツの有力紙ビルトは両者が「氷河期に入った」と報じている。

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