上海の流通大連合は本当に成功するのか?

執筆者:五味康平2003年6月号

「本当に合併できるのか」――。上海を本拠とする中国の流通大手、華聯集団、上海友誼集団、上海一百集団、上海物資集団の四社が「上海百聯集団」として経営統合を決めたことに対し、日本の流通関係者は厳しい見方をしている。デパート、食品スーパー、コンビニ、卸問屋など各社は業態がそれぞれ異なり、統合の糸口を見つけにくいからだ。業態、店舗規模などが異なれば、統合しても仕入れや物流の共同化は難しい。店舗数四千、売上高一兆円の巨大流通グループといっても緩い連合で、「張り子の虎」になりかねない。 これに対し、仏カルフール、米ウォルマート、日本のイトーヨーカ堂などは調達の共同化、ブランドイメージの作り方など徹底したチェーン・オペレーションを展開しており、多店舗化が進む今後は、一段と力を増して来るのは確実だ。 もともと今回の合併は、WTO(世界貿易機関)加盟で流通の対外開放による外資の影響力拡大に危機感を持つ中国政府が先導した。経営統合で巨大スーパー、デパートチェーンをつくり、外資に対抗しようという狙いだ。中国の流通業は基本的に上海、北京など特定地域に根を張るリージョナルチェーンにすぎない。これまでは地元で調達した商品を狭い範囲に配送するだけで済んできた。しかし、全国展開を急ぐカルフール、ウォルマートなど外資は着々と出店を続け、カルフールは超大型店(ハイパーマーケット)だけで三十二店舗に達している。今のうちに中国側が全国展開のノウハウ、経験を積んでおかなければ格差は広がる一方になる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。