新日鉄に追いついたJFEの事業再生術

執筆者:杜耕次2003年8月号

旧NKKと旧川崎製鉄を統合したJFEが、営業・経常・最終すべての損益で新日鉄を上回った。業績急回復の深層と課題に迫る。「マラソンでいえば、背中に息がかかるほど追いつかれた感じ。正直いって、あちらのピッチの速さは予想外だった」 新日本製鉄のある系列会社トップはこんな感想をもらす。追いつかれたのは、自分の出身母体でもある新日鉄。背中に息がかかるほど迫ってきた「あちら」というのは、NKKと川崎製鉄が経営統合して昨年九月に発足したJFEホールディングスのことである。 五月に発表された二〇〇三年三月期決算(連結)。すでに三月時点の業績予想で流れは見えていたものの、確定数値は鉄鋼業界に改めて衝撃を与えた。JFEは売上高では三千億円ほど及ばなかったが、営業・経常・最終すべての損益で新日鉄を上回ったのである。逆転要因は、統合に伴う物流の共通化や生産設備の集約などによる合理化で、そのコスト削減額は二百億円に達した。 実は、持ち株会社JFEホールディングスの発足は前述のように昨年九月。だが、主力である鉄鋼部門の統合事業会社JFEスチールは今年四月の設立。つまりJFEは統合後の新しい事業体制が本格的にスタートする前に、すでに二百億円もの統合効果を発揮したことになる。

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