八月五日、ジャカルタ市内の大使館・ビジネス地区にある米国系の最高級ホテル「JWマリオット」で爆弾テロ事件があり、百五十人以上が死傷した。 ジャカルタ市内の米国系ホテルは他に「グランド・ハイアット」や「ヒルトン」などがある。なかでもマリオットは米国大使館御用達で、独立記念日のレセプションや記者会見が行なわれるほか、パウエル国務長官などVIPの常宿でもある。豪ハワード首相やダウナー外相もご贔屓だ。中華レストラン「パール」は飲茶で有名で、裕福な中国人も足を運ぶ。 当然、警備は万全と思われがちだが、五ツ星ホテルとしては脇が甘い。正面玄関を入る際は検査などがあるが、自動車はフリーパスで玄関に横付けできた。一時停止させて反射鏡で車体の下を常時チェックすることもなく、トランクも開けない。この隙をテロリストは突いた。 犯人説は三つ考えられる。最も有力なのは、バリ島爆弾事件の実行犯「ジェマー・イスラミア(JI)」説。TNTやRDXなど爆弾の種類はJIが常用するものとほぼ同じで、車を爆発させる点も似ている。今回はガソリンタンクを搭載して爆発・炎上の効果を強化しており、手口はより練られた。標的は欧米人や裕福な中国人だ。

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