ジャカルタ爆弾テロを許した米系ホテル警備の「穴」

執筆者:竹田いさみ 2003年9月号
エリア: アジア

 八月五日、ジャカルタ市内の大使館・ビジネス地区にある米国系の最高級ホテル「JWマリオット」で爆弾テロ事件があり、百五十人以上が死傷した。 ジャカルタ市内の米国系ホテルは他に「グランド・ハイアット」や「ヒルトン」などがある。なかでもマリオットは米国大使館御用達で、独立記念日のレセプションや記者会見が行なわれるほか、パウエル国務長官などVIPの常宿でもある。豪ハワード首相やダウナー外相もご贔屓だ。中華レストラン「パール」は飲茶で有名で、裕福な中国人も足を運ぶ。 当然、警備は万全と思われがちだが、五ツ星ホテルとしては脇が甘い。正面玄関を入る際は検査などがあるが、自動車はフリーパスで玄関に横付けできた。一時停止させて反射鏡で車体の下を常時チェックすることもなく、トランクも開けない。この隙をテロリストは突いた。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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