『007』を旅して (6)

MI6長官「M」の正体

執筆者:竹田いさみ 2018年4月16日
エリア: ヨーロッパ
Mを演じたジュディ・デンチ(C)AFP=時事

 

 英国において秘密情報部MI6(Military Intelligence 6)が第1次世界大戦中に設置された史実を受け、イアン・フレミングは秘密工作員007の所属する政府機関として、小説や映画に実名でこれを採用した。

 シリーズでは、MI6の長官をM(エム)、装備担当責任者はQ(キュウ)と呼ぶ。Qの呼称は、英語のQuartermaster(装備担当者、軍需品担当の将校)の頭文字であることから、その由来に疑問を差し挟む余地はない。しかしМはミニスター(Minister=大臣)か、それともミスター(Mr.)やマスター(Master)かと、さまざまな選択肢が想定される。もっとも単純に考えれば、MI6の長官だから機関のイニシャルを戴いて、Mという説も成り立つ。一体、「M」の由来は何なのか。

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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