「日本経済の明日を買おう国民運動」。こんなタイトルが記されたA4判で五枚つづりのペーパーが、永田町で出回っている。中を見ると「株式投資は国家の健全な発展のために必要不可欠」と記されており、「株式投資はいかがわしいものであるというムード」の払拭が目指されている。出所は、昨年末に結成された自民党の議員有志の集まり、「個人株主拡大推進議員連盟」だ。 この議連が目指すのは、「総理、閣僚が率先してETF(株価指数連動型上場投信)を買うこと」「公務員の株式購入解禁」などで、議員立法によってこれらの実現を図る考えだ。千四百兆円とも言われる日本の個人金融資産のうち株式が占める割合はたったの四%。これを欧米並みの三〇―四〇%に引き上げるためには、インサイダー規制などは緩和して、投資家の裾野を広げようということらしい。 もっとも運動の基本は小泉人気への便乗商法だ。同議連に参加する森派の議員は、「総理が国民に向かって『僕も買った、皆さんも株を買いましょう』とメッセージを伝えれば、株価が千円は上がる」と、半ば本気で小泉総理のプロパガンダに期待する。 株式相場の低迷が続く一方で、「個人投資家育成」のキャンペーンが日本全国に広まっている。日本証券業協会(日証協)や証券取引所に加えて、最近は冒頭のように国会議員までが個人投資家の育成に乗り出したが、実態をよく見るといささかならず胡散臭い。

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