日中両国が“我田引水”を狙う東シベリアからの石油パイプライン敷設構想をめぐって、さまざまな情報が飛び交っている。 まずは日本が目指すナホトカへの敷設が有力になったとの説。先日逮捕されたロシア最大の石油会社ユコスのホドルコフスキー社長は、中国・大慶向けルートを支持する旧エリツィン派を支えてきた。中国側も、東シベリアの油田と国内パイプラインを支配するユコスに接近してきたが、頓挫した形だ。 プーチン大統領はユコスなどから石油利権を奪い、ナホトカルートの採用で日本からコミッションを得る算段とか。日本では官邸が国際協力銀行などに七十億ドルの融資を迫っているが、その三割はプーチン派への闇資金と日本の関係先への還流資金ともいわれる。 一方、エネルギー政策で日露に影響力を持つ米国が大慶ルート支持に傾いているとの観測もある。ナホトカルートは、今年一月の日露首脳会談で突然浮上。ロシア原油の対中輸出を嫌うブッシュ政権が、小泉首相とプーチン大統領に働きかけた結果とみられる。 ところが、イラク復興が重要課題になったいま、米国にとって日本はイラク原油の安定的な大量購入先。そこにロシア原油が入るのは、もはや好ましい事態ではない。

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