八百八十億ドル(約九兆六千八百億円)に上る対民間債務の不払いを宣言したアルゼンチンが、反対に「貸し倒れ」の回収に苦慮している。キューバとの関係正常化を受けて近く再開する債務再編交渉を前に、キューバから大幅な減免を求められる見通しが強まっているためだ。 五月に発足したアルゼンチンのキルチネル左派政権は、二〇〇〇年の国連人権委員会でのキューバ非難決議への対応をめぐり悪化した二国間関係の改善に乗り出している。十月には約二年半ぶりに同国駐在大使を任命、一九七〇年代から停止しているキューバ債の返済再開に向け、再編交渉に入ることを決めた。 ところが、キューバ側が交渉に先立ち、債務の七五%減免を求める方針を表明。アルゼンチン政府は拒否する姿勢ながら、自国の債務再編交渉では民間債権者に、元本の七五%減免や返済期間を最長四十二年に延長する案を提示している。 キューバの債務元本は総額二十億ドル(約二千二百億円)程度だが、不払い期間中の利子の取り扱いに関する合意ができておらず、再編交渉の対象額すら確定していないのが現状だ。

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