年末にかけて年金改革に関する議論が本格化するが、政府・与党内に検討の場が増えすぎて、霞が関の官僚も「どこでどう議論が進むのか、まったくはっきりしない」と頭をかかえている。 政治的な中心は自民党年金制度調査会と与党年金制度改革協議会だが、財務省などは「与党協議会の面々は、自民党の厚生族議員が中心で、議論にバイアスがかかる恐れがある」と警戒する。一方、政府内では、官邸に設置された厚生労働、財務、経済産業各省と内閣府の次官級検討会が論点整理を継続。加えて、十一月下旬には内閣府の経済財政諮問会議が、改革に関する集中審議を実施する。 今回の制度改革では、厚労省と財務省が、基礎年金の国庫負担割合引き上げをめぐり反目。経産省は企業の負担増に反対し、諮問会議の存在価値が薄れた内閣府が主導権奪回を画策するなど、政府内部での意見対立が目立つ。また与党内では、公明党が年金問題に熱心なことが検討の場のさらなる肥大に拍車をかける。しかし、政府・与党案の取りまとめの期限は年末。厚労省の幹部の一人は「船頭多くして結局まとまらずというのが一番困る」と漏らす。

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