「ダイエー応援団」に吹く秋風

執筆者:2003年12月号

産業再生機構が使えない。産業再生法も再建ファンドも効果なし。官民挙げての「再生バブル」もそろそろ弾ける頃合いか?「ご提案して頂いていたことを検討して参りましたが(債権者などとの)調整に時間がなく、受け入れることはできません」。十月二十四日午後一時三十分過ぎ、東京・丸の内にある産業再生機構の会議室。ダイエーの高木邦夫社長は強ばった表情で手にしていたメモを棒読みした。目の前にいるのは同機構の斉藤惇社長、高木新二郎産業再生委員会委員長ら。 斉藤社長のいつもの甲高い声は影を潜め、小声で「残念です」と答えるのが精一杯だった。「支援先は小粒な案件ばかり」と後ろ指をさされる再生機構、汚名返上のチャンスがまた逃げる。 しばらく沈黙の後、高木再生委員長が口を開く。「私的整理ガイドラインでやっていくわけですね」と問い質すとダイエー側の出席者は頷いたという。高木委員長は「それは大変ですね」と不機嫌そうに返した。一時間の予定の会合は、わずか十五分ほどで終わってしまった。 ダイエーは約一兆二千億円ある連結有利子負債(金融事業等を除く)を二〇〇五年二月期までに九千億円に削減することを公約している。「福岡事業」と呼ばれるプロ野球福岡ダイエーホークスとその本拠地ドーム球場、隣接するシーホークホテルのうち、約千二百億円の有利子負債を抱えるドームとホテルを切り離せば財務面での再建は大きく前進する。ここに産業再生機構を噛ませることで、ダイエーにとっては産業再生法の適用、日本政策投資銀行の企業再建ファンドを通しての出資に続く、国から三つ目の支援策を取り付けることになるはずだった。

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