さる十一月十八日、電気街の秋葉原や国技館のある両国に挟まれた街、東京・浅草橋で、一件の鍬入れ式が行なわれた。この日から建設が始まったのは「AFLACペアレンツハウス」。都内都心域の大病院に青森や沖縄といった遠方から入院してくる難病の子供たちに付き添う家族のための宿泊施設だ。 建物の名前に冠された社名からもわかるように、建設を後押ししているのは外資系生保最大手のアメリカンファミリー(AFLAC)。二〇〇一年にも浅草橋からほど近い亀戸に同名の施設を立ち上げており、二〇〇四年後半に完成予定の浅草橋は二棟目になる。「こうした施設は米国では『ファミリーハウス』と呼ばれ、白血病でお子さんをなくしたご両親が三十年ほど前に設置運動を始められたと聞いています。日本でも九〇年代初めごろから、ご自宅の一部などを開放していただけるボランティアの方が増えてきました」 と語るのは、現在AFLAC会長で、社長在任時代からペアレンツハウス設立に取り組んできた松井秀文氏。 難病の子供を抱えた家族の負担はまず心理面で大きいが、住まいから遠く離れた病院での治療となれば、体力的、経済的にもつらくなる。ホテルの利用はもちろん、親類宅などに身を寄せられるとしても決して楽ではない。

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