UFJ銀行が「絶対格差」にのみ込まれる日

執筆者:杜耕次2004年2月号

金融支援で延命した企業、延命させた銀行。いずれもライバルとの格差は広がるばかりで、その差は絶対的になりつつある。「懸案事項は今回一気に処理した。環境の変化をすべて見通すことはできないが、これ以上追加的な損失が発生することはない」 多くの企業にとって「仕事納め」だった十二月二十六日、ミサワホームホールディングスの水谷和生社長は緊急会見を開き、二〇〇四年三月期の連結純損益が千二百七十億円の赤字となる見通しと発表した。同社はわずか一カ月前に三十億円の純利益を確保すると明らかにしたばかり。小出しの損失処理で下方修正を繰り返してきた前歴を問い質され、苦しげに答えたのが冒頭の発言である。 とはいえ、「小出し処理」で水谷を責めるのは酷かもしれない。年末時点ではまだ就任一カ月足らずの新米社長。一九六七年の創業以来三十六年間君臨したカリスマ社長、三沢千代治が、メーンバンクのUFJ銀行による一千億円の優先株引き受けと引き換えに辞任したばかりなのだ。水谷はそのUFJ銀行から〇二年に副社長として送り込まれた。旧三和銀行出身で、ミサワに来る直前は同行系列の東洋不動産の社長を務め、不良資産処理に辣腕を揮ったとの評判があった。UFJ側は移籍後すぐにでも水谷をミサワ社長に据えたかったが、老獪な三沢に翻弄されてなかなか実現に到らなかった。

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