[ワシントン発]ブッシュ政権が二〇一五年にも人類を月面に再び送り込むことなどを柱とする新宇宙開発計画を発表した。計画に要する巨額の費用はスペースシャトル計画の打ち切りをはじめ、既存プロジェクトの大幅な改廃などで主として捻出する。国際宇宙ステーション(ISS)計画などの将来に影を落としつつあり、日本にも影響が及ぶのは必至だ。 計画によると、二〇〇八年までにロボットを月に着陸させ月面の探査を開始。有人による探査への準備を進める。並行してシャトルの代わりに宇宙飛行士の輸送機となる多目的有人宇宙船(CEV)の開発に着手。二〇〇八年までに開発・試験を進めて、二〇一四年をめどに有人飛行を実施する。このCEVを利用して月面に人を送り込み、居住可能な月面基地などの建設に取り組む方向だ。将来的には、月面基地を拠点にして火星などの有人探査も目指す。 火星の有人探査は父ブッシュ元大統領も提唱し、金がかかりすぎるという米議会の反対で立ち消えになったという因縁のプロジェクトだ。父親が果たせなかった夢にこだわりを示す現大統領は、昨年二月のシャトルの空中分解事故以降、新たな宇宙開発計画の策定にご執心だった。加えて、昨年十月の中国の有人宇宙飛行成功というニュースが飛び込んできた。当初、新宇宙計画のアイデアにはホワイトハウス内でも慎重論が多かったが、「万が一にも中国に遅れをとってはならじ」と雰囲気が一変したという。

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