外資の「日本買い」、ふたたび

執筆者:杜耕次2004年7月号

新生銀行上場が口火となり、外資系投資ファンドが日本での活動を活発化させている。その次なる標的は製薬業界か。 ジェームズ・ベーカー元国務長官、ルイス・ガースナー前IBM会長、アーサー・レビット元SEC(証券取引委員会)委員長等々、米政財界の名だたる面々が経営幹部として名を連ねる投資ファンド会社、米カーライル・グループ。その運用資産総額は二百億ドル(約二兆二千億円)に達する。十七年前に設立総会を開いたニューヨーク・マンハッタンの超高級ホテルにちなんで命名されたこの世界最大級の投資会社が、日本でのビジネス拡大に向け一気にアクセルを吹かした。 五月二十六日に基本合意したKDDI系列のPHS(簡易型携帯電話)会社DDIポケットの買収。京セラと組み、今夏をメドにDDIポケット株式の九〇%を取得する計画で、このうちカーライルの保有比率は六〇%。買収総額は二千二百億円の見通しでカーライルにとっては日本で最大の投資案件になる。 六月三日にはニューヨークで、日本の不動産投資に乗り出すと発表。カーライルは東京に不動産投資の専門チームを発足させ、ホテル・不動産会社スターウッド・キャピタルから引き抜いた幹部二人を送り込むという。

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