「1リーグ制」でも黒字化は遠いプロ野球経営

執筆者:月乃功一2004年8月号

“再編”急加速状態のプロ野球界だが、経営改善を長年怠ってきたツケは大きい。10球団になっても採算はとれない可能性が高い。 パリーグのオリックス・ブルーウェーブと大阪近鉄バファローズの合併を引き金に、日本のプロ野球がおよそ半世紀ぶりに再編に動き出した。七月七日に開催されたオーナー会議で、従来の12球団から10球団へ集約し、来季は五十六年ぶりに1リーグ制になる構想が明らかとなった。球団経営の悪化を親会社が無視し得なくなってきたことが球団数削減の直接の理由だが、プロ野球界全体が社会の構造変化に合わせた改革を怠ってきたツケが一気に噴出してきたのだ。 過去十年間の日本経済は、バブル崩壊後の不良債権問題やデフレ経済の長期化を受けて、多くの企業が破綻したり、人員削減などリストラの大なたをふるわざるを得ない状況が続いた。経営の観点から見ると、戦後一貫して「娯楽の王様」だったプロ野球ですら例外ではなくなったと言える。ただ、ショービジネスであるプロ野球が一般の産業と同じく単純に球団数などを減らすだけで活性化するのだろうか。球団リストラの成否を占ってみる。「(1リーグで)10球団ならどこも黒字になると思う」――。オーナー会議が開催された七日、西武ライオンズの堤義明オーナーは、会議後に開いた会見で1リーグ制移行後の採算見通しを明らかにした。試算の根拠が示されなかったこともあるが、まず1リーグ移行ありきという姿勢のためか、あまりに楽観的に過ぎる印象が強かった。

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