実は、イラク戦争には影の主役がいた。イスラエルとイランである。いずれも、サダム・フセイン元大統領の仇敵であり、旧フセイン政権の崩壊でそれぞれの国益が満たされた形なのだ。 だが、激しい戦火の陰で、イスラエルとイランが、それぞれの思惑を込めて秘密工作を行なってきたことはあまり知られていない。 七月三日、あのアブグレイブ合同尋問聴取センター(JIDC)での虐待・拷問事件で懲戒処分を受けた米軍のジャニス・カーピンスキ准将が英BBCラジオ4のトゥデーという番組に登場し、驚くべき事実を明らかにした。 准将が昨年、別の将官とイラク国内の情報センターを訪問した時、それまでに見たことのない人物がいたので、「ここで何をしているのか」と尋ねたところ、彼は「尋問に当たっている。私はアラビア語を話すが、アラブ人ではない。イスラエルから来た」と言ったというのだ。 米軍兵士が行なったあのおぞましい虐待の写真を見て、イスラエル治安機関に拘留された経験のあるパレスチナ人たちは驚かなかったという。自分たちも同じ虐待を受けていたからだ。だから、この事件でもイスラエル専門家が関与したとのうわさは多々あったが、初めて米軍当局者の口からその事実が確認されたのである。

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