「死せる孔明、生ける仲達を走らす」――。中国の三国志に出てくる有名な言葉だ。三国志演義では、魏の軍師である司馬懿(字は仲達)は星占いで大きな星が落ちるのを見て、蜀の諸葛孔明が死んだと判断して蜀を攻めるが、孔明が生前に自分の死に備えてつくらせた木像を見て、驚き撤退したという話だ。
 今、韓国で語られているのは「死せる成完鍾(ソン・ワンジョン)、生ける朴槿恵(パク・クネ)政権を揺るがす」という言葉だ。韓国の建設会社、慶南企業の成完鍾元会長が朴槿恵政権の要人たちに裏金を渡したとメディアに暴露、これを書いたメモを残して自殺した。韓国は、今、この「裏金ゲート」に揺れている。先述の言葉は、この状況を、三国志を模して皮肉った言葉だ。
 これに加えて、朴槿恵政権は1年前に起きた死亡・行方不明者304人を出したセウォル号沈没事故の原因究明や対策などで適切な対応を取れず、遺族らから激しい反発を受けている。
 韓国はよく「情の国」と言われる。朴槿恵大統領は明らかに国民感情を読み解くのに失敗している。「裏金ゲート」と「セウォル号事故」というダブルパンチを受けながら、支持率を下げている朴槿恵政権の総体的危機の状況を報告する。

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