「瀕死」の朴槿恵政権(上)「裏金メモ」と「セウォル号事故」

平井久志
執筆者:平井久志 2015年4月28日
カテゴリ: 国際 政治 社会 金融
エリア: 朝鮮半島

「死せる孔明、生ける仲達を走らす」――。中国の三国志に出てくる有名な言葉だ。三国志演義では、魏の軍師である司馬懿(字は仲達)は星占いで大きな星が落ちるのを見て、蜀の諸葛孔明が死んだと判断して蜀を攻めるが、孔明が生前に自分の死に備えてつくらせた木像を見て、驚き撤退したという話だ。
 今、韓国で語られているのは「死せる成完鍾(ソン・ワンジョン)、生ける朴槿恵(パク・クネ)政権を揺るがす」という言葉だ。韓国の建設会社、慶南企業の成完鍾元会長が朴槿恵政権の要人たちに裏金を渡したとメディアに暴露、これを書いたメモを残して自殺した。韓国は、今、この「裏金ゲート」に揺れている。先述の言葉は、この状況を、三国志を模して皮肉った言葉だ。
 これに加えて、朴槿恵政権は1年前に起きた死亡・行方不明者304人を出したセウォル号沈没事故の原因究明や対策などで適切な対応を取れず、遺族らから激しい反発を受けている。
 韓国はよく「情の国」と言われる。朴槿恵大統領は明らかに国民感情を読み解くのに失敗している。「裏金ゲート」と「セウォル号事故」というダブルパンチを受けながら、支持率を下げている朴槿恵政権の総体的危機の状況を報告する。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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