赤丸が今回の襲撃と関連した場所、青丸が警察署、緑丸はユダヤ博物館。上部灰色枠の表題左端にある→をクリックすると施設名枠が表示され、施設名横の色丸をクリックすると地図上の丸とリンクします。上部右端の窓枠マークをクリックすると、別ウィンドウで地図が拡大されます。

 

 20年以上前から過激派の巣窟と見なされてきたイスラム教礼拝所「サントル・イスラミック・ベルジュ(CIB)」が位置するマンチェスター街は、途中で曲がった坂道である。曲がり角から見下ろすと、行き当たりの先に運河が見えた。この光景に見覚えがある。

 

イスラム過激派の活動拠点

 米9.11同時多発テロから1年が経った2002年10月、欧州のイスラム過激派取材の一環として訪ねたのが、この礼拝所だった。何せ、アルカイダと直接つながるといわれる組織である。いったん入ると2度と戻れないのではないか。おっかなびっくりで戸口をくぐった記憶がある。当時、この施設は同じ運河の近くの現在より少し南の通りに位置していたが、周囲の雰囲気はよく似ている。

 その時に応対したのは、意外にも快活で、礼儀正しい初老の男だった。CIBの前事務局長で、アブドラ・アブ・アブドラジズと名乗った。その名はアラビア語風であるものの、元の名前をジャン・バスタンというカトリック家庭出身のベルギー人である。1960年代後半、哲学専攻の大学を中退し、「生きる意味を求めて」旅に出た。モロッコに住み着き、やがてイスラムに改宗した。

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