イラン大統領「因縁の訪問」で垣間見えたフランス「宮廷外交」の自負
2016年2月15日
国際社会の対イラン経済制裁が解除された直後の1月下旬、イランのロウハニ大統領がイタリアとフランスを訪問した。
イタリアではエネルギー分野など総額170億ユーロ(約2兆2000億円)の契約で合意。フランスではエアバス社から旅客機の大量購入と、仏企業のイランの空港や高速鉄道などへのインフラ建設参入が決まった。双方にとって大満足の成果だったが、もてなしを巡っては仏伊で好対照をなした。
全面的に要望を受け入れたイタリア
まずイタリア。イランは事前の打ち合わせで、レンツィ首相がローマで催す夕食会に幾つかの注文を出した。
料理は、イスラム教のルールに従って屠殺したハラル肉を使うこと、食事会に女性は出席しないこと、ワインボトルは目に触れないようにすること、の3点だ。最後のワインボトルを目に触れさせないというのは、ホスト国側もワインを飲まないでほしいということだった。
イタリア政府はこれを受け入れた。加えて料理学校に通うイスラム教徒を臨時に雇い入れ、首相官邸の厨房で手伝わせた。「イスラム教徒がきちんとかかわって問題なかった」ということを示す狙いだった。
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