2月17日のアンカラのテロで、実行犯はトルコ国籍であることがDNA判定により分かった、とトルコの「治安当局高官」が明かしたと報じられている。

"DNA report suggests Ankara bomber was Turkish: security official," Reuters, February 23, 2016.

これが事実か、あるいは事実として広く認められれば、トルコのシリア北部への軍事介入は当面難しくなり、それによるトルコとロシアとの衝突、さらにはNATOとロシアとの対立といった事態も当座は回避できるかもしれない。

トルコ政府は早期に、シリア北部で台頭するクルド系武装組織YPGによる犯行と断定し、シリア国籍のクルド人サーレハ・ナッジャールを実行犯と発表していたが、トルコ国内のクルド系反政府組織TAKが犯行声明を出し、アブドゥルバーキー・ソンメズ(Abdulbaki Sonmez)が実行犯と発表しており、正面から食い違っていた。トルコ政府はシリア国籍のナッジャール犯行説をYPG関与の根拠とし、シリア北部への砲撃を行いつつ、YPGをテロ組織と認定してシリア北部のクルド勢力への支援を打ち切るよう米・欧に求めたが、冷たい反応が返ってくるだけだった。

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