この首脳会議のあと、EUでの「最後の晩餐」に臨んだキャメロン首相(中央)の心中は……(C)AFP=時事

 

 欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国の国民投票を受けて6月28、29の両日、ブリュッセルでEU首脳会議が開かれた。キャメロン英首相は初日の夕食会だけに出席したが、“政治的賭け”に敗れた失意の同首相にとって、最後となるEU首脳会議の夕食をじっくり味わう心のゆとりはなかっただろう。

 

「よく戦った」

 6月23日の国民投票に向けた英国内の残留、離脱両派の激しいキャンペーンは、EUの他27カ国首脳にとって腹立たしいものだった。英国の離脱派は、EUがいかにダメな組織で、これが英国の国益を損ねていると、これでもかとばかり繰り返した。EU首脳らには「EUと移民がスケープゴートにされた」との思いが強い。

 そもそも今回の騒ぎの発端は、EU残留か否かを国民投票にかける“政治的賭け”に踏み切ったキャメロン首相にある。しかしキャンペーンのここ数カ月間、同首相は残留派の先頭に立ってEUを擁護し、EU残留が英国の国益に適ったものであることを説き続けた。このことに対しては「よく戦った」との思いが首脳らにはあった。

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