久間元防衛相も一役買った株価暴騰騒ぎ

執筆者:清水常貴2008年5月号

株価低迷の折から結構な話――とは言い難い。赤字の住宅メーカーがロシアに人工島建設を謳い、株価が暴騰。裏では大物仕手筋と――。 少々のことでは驚かない証券マンが目を剥いたのが、大阪証券取引所二部上場の「千年の杜(四月一日から東邦グローバルアソシエイツに社名変更)」の株価だ。なにしろ、一月十七日に一株十九円まで値下がりしたボロ株が、世界中の株価が下落しているのを尻目にあれよあれよという間に五百一円まで暴騰したからである。しかも、暴騰の理由は、二〇一四年に冬季オリンピックが開催されるロシアのソチに同社が人工島を建設することだというのだから、呆気にとられるのも当然だ。 黒海に面したソチはロシアの高級保養地として知られているが、平地が少ないため、黒海に人工島をつくり、ホテルや国際会議場、ヨットハーバーなどを建設し、オリンピックに役立てようという壮大な計画だという。同社は人工島建設の許認可を取得したロシアの有限会社ホマル社に資本参加したとも発表している。 さらに二月中旬には、露日経済協議会と、久間章生元防衛相が委員長を務める「二〇一四年ソチ冬季オリンピック協力委員会」が主催する露日投資フォーラムが、東京・江東区のホテルイースト21東京で開催され、来日したアスラン・アタビエフ露日経済協議会理事長やソチ前市長がロシアへの投資を呼びかけたが、千年の杜は唯一、投資に応じる企業として登場。横田尚之社長は人工島の模型やパンフレットを持ち込みプロジェクトの概要を紹介する熱の入れようだった。加えて久間センセイも「人工島が完成すれば日露友好に役立つ」と挨拶するに及んで同社株の人気は“沸騰”した。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。