憲法改正の通過点「国民投票」のルールと問題点
2016年12月13日
先の参議院選挙の結果により、自民、公明両党に、憲法改正を目指す、おおさか維新の会などを加えた改憲勢力(改めたい条項は各党まちまちだが)は衆参両院の3分の2に達し、安倍政権が憲法改正の発議に踏み切る態勢は整った。主権者である国民が、賛否いずれにせよ「憲法制定権」を行使する初の機会が迫ってきたということになるわけだが、憲法を改正するためには、国民投票を経なければならない。水準の高い良質の国民投票にするには、以下の3つが欠かせない。
(1) 問われる案件について本質的な議論がなされること
(2) 案件に関する十分な情報公開が関係する機関からなされること
(3) 国民投票の真っ当なルール設定がなされること
来るべき日本初の国民投票が、主権者・国民の賢い選択をもたらすために、私たちは護憲・改憲の枠を超えてこの3つの実現に努めなければならない。
ここでは(3)、つまり「憲法改正国民投票法」について考えてみたい。
1度も行われたことがない「国民投票」
選挙は、国会議員選挙であれ知事選挙、市会議員選挙であれ、主権者である自分たちに代わって事柄を決める人を選ぶ制度である。一方、国民投票・住民投票は、自分たちが主権者として直接事柄を決める制度だ。わが国では、住民投票は1996年に新潟県巻町で行われた原発建設の是非を問うたもの以降420件以上実施されているのに、国民投票は「実施ゼロ」だ。日本国憲法上、国民投票をやってはいけないという禁止規定は一切ないにもかかわらず、である。
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