米国がオバマ政権期のシリアのクルド勢力に対する政策を引き継ぎ、ラッカの「イスラーム国」掃討作戦でもYPGが主体のクルド勢力と深く連携するという見通しが立ち始めたため、トルコの干渉を抑制し、アサド政権への一定の抑止力も確保して、シリア北東部に自治区を作れる可能性が取り沙汰されるようになった。

ただしトルコもジャラーブルスやアル=バーブを制圧してクルド勢力のユーフラテス河以西への拡大と北西部のクルド人が多く居住するアフリーンとの一体化を阻止したことで、シリアのクルド勢力に「楔を打った」形で戦略的な地歩を固めている。これで当面は満足せざるを得ないようだ。

米軍がYPGを主体とするシリア民主軍(SDF)と共に行うラッカの攻略戦に、トルコ軍やトルコに支援された勢力も加えるかどうか、という議論は続けられるだろうが、クルド勢力を排除した形でのラッカ攻略戦が行われる可能性は低くなったようだ。

"Turkey's Syria plans face setbacks as Kurds see more U.S. support," Reuters, March 9, 2017.

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