歴史に残る演説だった(『BBCニュース』画面より)

 

 英国ロンドンの中心部のロンドン橋付近で6月3日土曜日の夜10時頃、車が暴走して歩行者を轢いた上で、車から降りた3名の犯人たちが刀やナイフで通行人に襲いかかった。犯人たちは切りつけながら「これはアッラーのためだ」と口走ったという。警察によって銃殺された犯人たちを含め、7名が死亡した。

 3月22日のロンドン・ウェストミンスター橋・宮殿での轢殺・刺殺事件、5月22日のマンチェスターのコンサート会場での自爆に続き、英国で過去3カ月で3回の大人数を殺害するテロが実行されたことになる。2005年の7月7日と14日の地下鉄・バス爆破テロは、グローバル・ジハードの西欧での展開の初期のものだったが、その後英国は概ね大規模なテロを防いできた。しかし2017年に相次いで大規模なテロが発生することで、新たな対策を迫られそうだ。

メイ首相の対テロ演説

 6月4日朝の内閣府ブリーフィングルーム(COBRa)での緊急閣議を終えたメイ首相の演説は、一言一句がテロ対策として考え抜かれたものだった。これまでのテロ対策の成果と、発生したテロ事件の事後の調査の積み重ねを踏まえてのものだろう。これまでは口を濁していた点について、明確に言い切った場面が多くあった。筆者はこれを、テロ対策上の画期となる、歴史に残る演説ではないかと思う。

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