「アラブの春」によるムバーラク政権崩壊後、2012年6月までの相次ぐ選挙に勝利したムスリム同胞団の政権掌握、2013年7月の軍主導のクーデタと揺れるエジプトは中東国際政治における存在感を低下させてきたが、最近、シリア内戦の停戦実施などで地道な関与を行うことで、じわりと復活しかけている。この点をイスエラルの『ハアレツ』のコラムニストが取り上げ、歓迎している。
"In Blow to Iran, Egypt Becomes Surprise New Player in Syria: To Israel's delight, Cairo's involvement is already showing results," Haaretz, August 21, 2017.

ロシアは今年5月4日までにカザフスタンのアスタナを舞台に行われてきたトルコとイランとの協議で、シリア内戦の主要な戦線に「戦闘低下(de-escalation)」地域を作る部分停戦の計画で合意しているが、現地の当事者の合意取り付けや停戦の保証の実施主体については曖昧だった。

ここでエジプトが、ロシアとサウジの双方の同意の元で関与し、若干「下請け」的な立場ではあるものの、不可欠の存在として認知されつつあるようだ。イスラエルにとっては、エジプトが間に入ることでイランの影響力がイスラエルと接する地域に及ぶことを防ぐ「盾」となるため、歓迎している模様だ。

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