国連改革会議終了後のトランプ大統領(中央)。左端はグテーレス国連事務総長、右端はヘイリー米国連大使 (C)AFP=時事

 

 9月19日の、トランプ大統領の初めてとなる国連総会一般討論演説は、様々な意味で物議を醸した演説であった。日本では、拉致被害者である横田めぐみさんのことを指したであろう「13歳のいたいけな女の子が、北朝鮮のスパイの語学教師にするために拉致された」という一言が入ったことが大きな話題となり、トランプ大統領が拉致問題に強い関心を示したことを好意的に評価する論評が目立った。

 確かに、これまでのアメリカ大統領の国連総会演説では取り上げられなかった拉致問題が含まれたのは画期的であり、北朝鮮を非難する文脈とはいえ、この問題に焦点が当たったことは大きな前進である。しかし、トランプ大統領の演説は、この部分を除けばかなり問題の多い演説であったと言わざるを得ない。

同盟国に配慮した演説

 トランプ大統領の演説の特徴は、一貫した論理がないことであった。その1つの理由として、アメリカの同盟国、特に日本とイスラエルの主張を多く取り入れた演説になっていたことが挙げられる。

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