イタリア「毒ワイン」とゴミ問題の連鎖

執筆者:シルヴィオ・ピエールサンティ2008年7月号

「ナポリを見て死ね」と言われた世界一の観光都市が、いまや廃墟同然。何が起こっているのか。[ローマ発]約三百万の人口を擁するイタリア第三の都市ナポリ(カンパニア州の州都)が、三十万トンものゴミに埋もれようとしている。「千九百年ばかり前、ベスビオ火山の噴火でポンペイが灰に埋もれて以来の脅威だよ。しかも今回は灰ではなく、有毒なゴミが襲ってくるんだ!」。ナポリのベテラン写真家ジョバンニ・マンゴーネは嘆く。「カンパニア州では日に七千二百トンのゴミが出る。だがそれを回収する者はいない。まさに悪夢だ」。 悪夢はそれだけではない。世界中でピザのトッピングとして使われ、イタリア産チーズの中でも最もよく知られたモッツァレラチーズは、水牛の乳を原料とする同州の特産品だが、そのモッツァレラがダイオキシンに汚染されていたのだ。 さらに、致死性の酸を含んだ安物の粗悪ワインが、イタリアはおろか海外でも出回っていた恐れがある。その量、実に七千万リットル。加えて、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのような高級ワインの一部にも、低品質のブドウが使われていた疑惑が浮上している。 大豆油や添加物で作られた真っ赤な偽物の「イタリア産エキストラバージン・オリーブオイル」。ラベルだけを新しく貼り替え、陳列棚に戻された消費期限切れの食品……。

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