自らが蒔いた種とはいえエア・インディア民営化の蹉跌はモディ首相にとって頭が痛い (C)EPA=時事

 

 デジタル経済を後押しした「高額紙幣廃止」や全国共通の間接税として物流の効率化を図る物品・サービス税(GST)、企業の破たん処理を加速させる債務超過・破産法(IBC)とともに、インド・モディノミクスの柱と位置づけられていた国営企業の民営化計画に、いきなり暗雲が漂い始めた。5000億ルピー(約8000億円)を超える赤字を抱えて再建困難となった国営航空会社エア・インディア(AI)の民営化プロセスで、株式取得に名乗りを上げていた格安航空会社(LCC)の雄インディゴや、かつての民間首位ジェット・エアウェイズなどが、相次ぎ買収レースからの撤退を表明したからだ。

 各社とも、魅力的な国際線部門には強い関心を示していたが、慢性的な赤字体質となっている国内線も同時に引き取る「抱き合わせ販売」や、民営化後も政府が引き続き株式の26%を保持して経営に関与し続けるといった条件が嫌われたようだ。AIの民営化は、後に控える銀行や石油会社など国営企業の統合・合理化の先駆けとなるはずだったが、ようやく盛り上がりつつあった民営化ムードに水を差しかねない情勢だ。

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