迷走の原因は2人の個人的な関係か(C)AFP=時事

 

【ワシントン発】 2016年米国大統領選挙キャンペーン中に米ロ関係の改善を訴えていたドナルド・トランプ氏が大統領に就任してから、15カ月以上が経過した。だが、現在の米ロ関係は改善するどころか、むしろ、第2次世界大戦終結以降、最悪の状態にあるとワシントンに勤務して肌で実感させられる。

追加制裁発動を見送り

 昨年8月、米議会はほぼ超党派で対ロシア制裁強化法である「制裁を通じた米国の敵対国対抗法(CAATSA)」を可決させた。トランプ大統領は同法案の成立に消極的であったが、大統領拒否権を行使しても、議会で3分の2以上の賛成で大統領拒否権が覆されることが必至であっため、同法案に渋々署名し、成立した。

 このCAATSAに基づき、対ロシア追加制裁措置を発動する期限が今年1月末に設定されていたが、トランプ政権はすでに既存の対ロシア制裁措置が十分な効果を上げているとして、同期限内の追加制裁措置の発動を見送っている。

 ロバート・ムラー特別検察官や米議会の上院情報特別委員会などは、2016年米国大統領選挙に対するロシア政府による介入を巡り、ロシア政府とトランプ陣営との間での共謀の有無についてトランプ大統領周辺に対して捜査や調査を進めている。そうした中、トランプ政権は対ロシア追加制裁措置の発動を見送った結果、米議会からの批判の矢面に立たされることとなった。

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