トランプ大統領が1月28日に発表した中東和平案、通称「世紀のディール」は、簡単に言えば、イスラエルがヨルダン川西岸の占領地に建設した入植地の大部分をイスラエルの正統な領土であると認めたものである。

ネタニヤフ首相は早速、米国が認めると言ったのだから、即座に入植地の併合の手続きを進める、議会に提起する、と畳み掛けた。これに対して、トランプ政権で和平案の策定にあたった娘婿のクシュナー氏は、「イスラエルの3月の選挙が終わるまで待ってほしい」との意向を示しており、ネタニヤフ首相との食い違いが早速表面化している。そもそもそのような帰結を考えずに和平案を提案しているのであれば、軽率すぎる。

イスラエルがヨルダン川西岸の入植地の併合を宣言すれば、これは一定の規模の衝突を惹起せずにはいられない。イスラエルが実効支配しているという現実は変わらなくとも、法的な性質を、恒久的なものとして宣言することは、パレスチナ側を強く刺激するだろう。

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