北京は香港民主派をどうしたいのか――「強硬な弾圧」と「不出馬非難」の不可解な態度
2021年10月1日
中国政府が「香港国家安全維持法(国安法)」を制定して1年あまり、民主派に対する攻撃はどこまで拡大するのか予想がつかない。9月19日に行われた選挙委員会選挙では、民主派からの当選がゼロとなった。
しかし、これほどの弾圧と排除の一方で、北京寄りの香港政界人は民主派に対し、選挙に出馬するよう脅しに近い言葉も使って促している。
一体北京は香港の民主派をどうしたいのだろうか。
「選挙委員会」も立法会も民主派はゼロに
選挙委員会は、香港政府の長である行政長官の選出に加え、香港の議会である立法会の90議席中40議席を選出するという、大きな権限を与えられている。その意味では、選挙委員会選挙は香港で最も重要な選挙と言っても過言ではない。
しかし、今回の選挙委員会選挙は盛り上がりを全く欠いた。
前回2016年の選挙委員会選挙では、民主派325人が当選していた。職業別に委員定数が割り当てられる選挙制度で、民主派には不利な仕組みであったが、民主派は法律界・教育界などのリベラルな傾向の強い枠で圧倒的な支持を集めた。
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