40万台を突破したタタの人気SUV「ネクソン」(同社ホームページより)
 

 日米欧中韓などの有力メーカーがひしめくインドの自動車業界は、秋以降自動車の販売台数が急増し、コロナ禍前の水準を回復した。しかし、花形産業を支える零細な自動車部品企業のテコ入れや、EV(電気自動車)の普及支援、何よりも道路の整備や交通安全教育、そして環境対策などが、まだ台数の急増に追い付いていない。コロナ禍を乗り越え、インド経済が新たなスタートを切った今こそ、技術やインフラをはじめとして自動車産業全体を見直すときだ。

購買意欲を刺激したSUV

 自動車販売店でつくるインド自動車ディーラー協会連合会(FADA)によると、二輪車や商用車、トラクターなども含めた2022年11月の自動車販売台数は前年同月比25.7%増の約238万台と、過去最高を記録した。ロックダウンによって「ゼロ台」に終わった2020年4月以降、20万台半ばで推移していた乗用車の月間販売台数は10月から2カ月連続で30万台の大台を回復。2022年通年での300万台超えが確実となっている。コロナ禍前の2019年11月の実績と比較すると、二輪車は約184万7700台でわずかにマイナスとなったが、その他すべての車種で3年前を上回った。

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