アップルはインドでのiPhone生産を全体の25%に増やすとしている[2022年9月12日、チェンナイ](C)EPA=時事

   グローバルサウスの有力リーダーであるインドが、世界経済で存在感を増している。地政学的な緊張の度合いが増す米中対立をテコに、中国に代わる「世界の工場」「デジタル経済大国」を目指しているからだ。

   本稿では、①世界のサプライチェーン再編におけるインドの重要性、②インド太平洋地域における米国主導の経済枠組みへの参加による経済成長戦略、③インドが中国と並ぶ米国の経済的・政治的・軍事的ライバルとして台頭する可能性を読み解く。

   また、米国主導の経済秩序に組み込まれる過程において、インドと日本の協力と競合がどのように展開すべきかも考察する。

「労働集約型で輸出主導」の中国モデルとの違い

   人口がおよそ14億2000万人と、2023年内に中国を抜いて世界一国民の数が多い国となることが見込まれる中、インドの国内総生産(GDP)成長のペースは、2023年に減速気味の中国の5.2%を上回る前年比6.1%に達すると国際通貨基金(IMF)は予想する。

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