米国のほぼ全域を射程に収める中国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風41」 (C)時事

 

 米国との勢力均衡を目指し、中国が核軍拡を本格化させている。米国防総省が毎年議会に提出している中国の軍事動向に関する報告書の2020年版は、「現在200発台前半と見込まれる中国の核弾頭数は2030年までに少なくとも2倍に増える」と指摘した。この核弾頭数について、同報告書2021年版では「2030年までに1000発に至る可能性」、2022年版では「2035年までに1500発に至る可能性」と、予測が大幅に引き上げられた[1]

 中国の核軍拡については、大陸間弾道弾(ICBM)を収納するサイロの製造数など、今後の動向を予測するための指標がいくつか存在する。中でも重要なのは、核兵器の原料となるプルトニウムについて、中国の製造能力を正確に分析することであり、上記の米国防総省の報告も、今後の中国におけるプルトニウム製造予測に基づいている。

 具体的に言えば、中国は民生用の発電技術を秘密裏に軍事転用することで、プルトニウムの増産を図ろうとしている。核兵器に転用できる超高純度のプルトニウムを取り出すことが容易な高速増殖炉と呼ばれる原子炉の建設を進めており、笹川平和財団の衛星画像分析によると、同炉は2023年中にも稼働すると見込まれる。

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