絶賛された経営スタイルの綻びはすぐに顕在化した[通期見通しの上方修正を発表する西田・東芝社長=2007年10月17日](C)AFP=時事]

 経済ジャーナリストにこの10年間で最も衰退の度合いが激しかった日本企業を挙げろと言われたら、大半が「東芝」と答えるだろう。2015年に発覚した不正会計(粉飾決算)に端を発し、その2年後には米原発子会社の破綻で連鎖倒産の瀬戸際に追い込まれ、さらに苦境下で資金供給源として受け入れた投資ファンドの圧力で経営が混迷。

 その間の連結業績の推移が如実に危機の痕跡を物語る。2014年3月期に6兆4897億円の売上高で営業利益2571億円を稼ぎ出していたのに、2023年3月期には売上高3兆3617億円、営業利益1105億円へといずれも半減。約20万人いた従業員(連結ベース)も11万人弱へ急減している。

命運を分けてきた「3人目の社長」

 東芝衰退の理由はことごとく経営トップに起因する。米ゼネラル・エレクトリック(GE)の「中興の祖」ジャック・ウェルチへの師事を広言し、ウェルチが磨いた品質管理手法の「シックス・シグマ」を忠実に東芝社内で実践していた西室泰三(1935〜2017年)をはじめ、彼以後の歴代社長たちが連続して冒した失政である。

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